離婚に至る流れは?
- 1.毎年多くのカップルが離婚していると聞きます。
だいたいは2人で話し合って「協議離婚」に至っており、裁判所のお世話になることはないと思います。
しかし、どうしても2人の意見が合わない時は、家庭裁判所に調停申立をすることとなります。調停は、相手方の住んでいる家庭裁判所に申し立てることとなっています。調停を経ないで一足飛びに離婚の本訴を裁判所に提出できないこととなっています。(調停前置主義)
これは、まず調停委員が間に入って双方の意見を聞き、円満、妥当な解決を図る方がいいとの考えによります。離婚調停の申立については、家庭裁判所にその申立用紙が用意されていますから、誰でも比較的容易に申立が出来ます。
調停では、離婚の外、子供の親権者をどちらにするか、子供の養育費をいくらにするか、2人の築き上げてきた財産をどう分けるか、離婚になった原因はどちらが悪いのか、悪い方が良い方にいくらの慰謝料を支払うべきか、将来年金を受給する様になった際の年金分割の方法をどうするかなどが話し合われます。
2人の築き上げてきた財産があれば分けやすいのですが、逆に住宅ローンが残っており、それが不動産価格より高額の場合、残債務をどうしようかなどが話し合われることもあります。
- 2.しかし、調停で色々話し合っても、解決が無理な場合があります。そもそも、双方のいずれかが離婚そのものに反対している場合です。つまり、質的に差異がある以上、調停は不可能です。
また、離婚そのものは合意していても、量的に財産分与、慰謝料について主張の対立が埋まらない場合もあります。この様な場合は、調停事件は「不調」となります。そして、さらに最終的な決着を求めるというのであれば、離婚裁判を家庭裁判所に提起するしか方法はありません。
調停申立は、事件当事者本人においても十分可能ですが、裁判となると当事者では少し無理かと思います。当然弁護士に依頼する必要がありますし、その方が結果的には早期で有利な解決が得られると思います。
- 3.なお、調停も裁判も20日から1ヶ月ぐらいの期間を置いて何回か期日が開催されます。
また、調停や裁判を申立するについては、一般に戸籍謄本、住民票(双方)、源泉徴収票、給与明細書(双方)、所有不動産の登記簿謄本、固定資産税評価証明書などは必ず用意する必要があります。
また、離婚裁判は長年に渡る夫婦の総決算であるため、依頼する弁護士に自身の思いや過去の事実関係を十分説明する必要があります。そのため、依頼者自身も報告書にまとめたり、証拠書類を整理したりする必要があります。弁護士との共同作業となる場合が多いです。
離婚訴訟を多く取り扱って考えるところは、離婚して誰も得しないことです。相手方からどれだけの賠償をしてもらおうではなく、将来自分が幸せになるための方策は、何かに重点を置いて考えるべきと思います。
また、離婚調停(訴訟も含めて)においては、相手方の資力(通常は夫の資力)がどうかを十分考えておく必要があります。夫婦間において何らの財産の形成もない以上、財産分与請求は無理であるし、慰謝料についても実際上支払に限界があります。結局は、この見極めをどうするかが難しいところです。