Q&A

利息制限法とは?(債務整理)

  1. 1.サラ金業者から容易に借入を受けられることから、生活費不足に困った人達が借入を重ね、結局返済不可能となる事態が多発したことから、多重債務問題が大きく取り上げられております。このため、我々弁護士の仕事として、債務整理や破産申立などが重視されています。
    サラ金業者から借り入れする場合は、通常年30%近い利息が常でした。
    しかし、利息制限法という法律ではこの様な高利を良しとしていたわけではありません。この法律では、10万円未満の借入については20%、10万円以上100万円未満の借入については18%、100万円以上に借入については15%以上の利息を取ることは無効としていたのです。
    しかし、一方出資法という法律では、金融業者が年29.2%以上の利息を取れば、刑事処罰の対象とする規定を置いていました。そのため、元本100万円以上の場合、年15%以上、29.2%までの利息の貸付については、法律上無効だけれども、刑事処罰の対象にはしないという空白部分ができました。
    つまり、年15%以上、年29.2%以下の利息を取っても、これは当事者間の問題であるから、行政はとやかく言いませんとの態度を取っていました。これがグレーゾーンと言われるものです。
    つまり、借主側としても一旦承諾して借り受けた以上、利息制限法に反していても支払うという人の関係においては、約定通りの支払がそれなりの効力を有していました。
  2. 2.しかし、借りた人がよく考えれば、利息制限法に違反して高額の利息を支払っていたのであれば、利息制限法に従って利息の計算の仕直しをしてほしい、もし過払の状態であれば返してほしいと言うことになれば、利息を取りすぎていた貸金業者は、制限利率以上の利息分を返還しなければならないこととなります。
    そして、この利息計算の際には、利息制限法を超過して支払った利息分は利息支払時に元本に入金があったものとして計算し直すことになります。つまり、利息として3万円支払ったが、適正制限利息が2万円だったとすれば、1万円分は元本に対する支払があったものとして計算し直すのです。
    つまり、一見元本が残っている様に見えていても、元本部分に過払利息分の充当が行われるため、元本額が極端に減少したり、時には元本が残っているのではなく、元本がないのに弁済を続けたとして貸主から返してもらわなければならないという現象も発生します。これを、過払金返還請求といいます。
    過払金の発生は、利息を約5年以上続けている様な場合に多く発生する様に思われますが、貸借のパターンにより色々です。なお、過払金返還請求は取引が終了した後もできます。
  3. 3.多重債務の方から相談があると、まず初めに高利で貸し付けしていた業者に対し、従前の取引履歴の開示を請求します。取引履歴の開示は、法律、政令等で規定されており、一般的に貸金業者はこれを拒否することは出来ません。(拒否すれば、行政処分を受けます。)
    また、弁護士が依頼者から債務整理、破産申立などの事件の依頼を受けたので、今後自分の方に一切の事項を連絡してほしい旨通知(これを受任通知といいます。)をしますと、貸金業者は事件本人に面談はむろん、電話、メール、書面等一切の連絡交渉を行ってはならない旨、法で定められています。むろん、これに違反すれば業務停止などの処分を受けることになります。
  4. 4.なお、平成22年6月以降は、利息制限法の制限利率と出資法の刑事処罰の利率とが同じとされたため、グレーゾーンというもの自体がなくなりました。そのため、今後は過払利息の問題は順次少なくなっていくと思われます。

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