弁護士に専門分野はあるのか
- 先生は、何が専門ですかと良く聞かれることがあります。
しかし、弁護士は専門分野を持っていません。
弁護士の仕事をしていると、「貸金」、「借地借家」、「交通事故」、「遺産分割」、「離婚」、「破産」など多種多様な事件処理を依頼されます。
弁護士は、これら多くの紛争を解決するのが仕事であり、もともと総合的且つ広範囲の知識を身に付けていることが要求される仕事なのです。
そのため、社会で一般的に発生する通常の事件については、これを解決できなければ弁護士でないということになります。
信頼を得ている人から交通事故の紛争の解決を求められ、自分は離婚専門弁護士だから受任しないなどということでは、国民の期待に応えられないこととなってしまいます。
そのため、専門分野はないということになります。
そうは言っても、永年弁護士をやっていると比較的交通事故の事件が多いとか、刑事事件が多いとかいうことはあります。
しかし、この場合も専門分野ということとはほど遠い状況です。比較的刑事事件の多い先生でも、民事事件は取り扱わないという先生はまずおられません。
そうは言っても、特別な分野には専門の弁護士というものはおります。それは、高度な特別の知識を必要とする分野で、一般の弁護士では対応できにくい分野です。
例えば、渉外事件などの分野で外国企業と日本企業の契約締結に関与したり、企業買収に関係したりする仕事です。
この様な事案を取り扱うためには、海外の法律に精通する必要がありますし、何よりも語学が堪能であることが重要です。
また、特許権などの知的財産の分野についても、海外の出願状況の知識や科学に対する深い見識も必要です。
この様な例外的分野を除いて、専門分野はないのです。要は一般的な事件については、弁護士がどれだけ誠意を持って努力するかに掛かっていると思います。